結婚相談所物語

愛すべきKさん(3)

Kさんは普段からこちらから尋ねたことには答えますが、進んで話をしたり、ましてや自 分を売り込むようなことは喋りません。


だからどんな場面でどのような得意技が繰り出されるのか、じっくりと寄り添わなければわからないのです。能ある鷹は爪を隠すと言いますが、自分のことなぞとんと意にないKさん。


才能をひけらかすとかそれを無理に隠すとか、そんなことはさらさら考えてもいないのです。


ポロリポロリとこぼれ落ちるのをいかに拾って見つけるか、むしろ傍らの人の能力次第ということになりそうです。


ありのままの自分を受け入れてくれる彼女を得て、まるで眠っていた何かが目覚めたかようにKさんの人柄が魅力めいたものへと高まっていきます。


ファッションのセンスなど持ち合わせていないかのようなKさん。でも、彼女へのクリスマスプレゼントはとても洒落たものでした。


何とKさん、他のカップルが長々と吟味した揚句に置いたバッグをすかさず買うということで、素敵な贈り物を遂げたのです。これはなかなかの才覚。


「自分でもそのバッグはいいとは思ったんだよ。でも前のカップルの動向をチェックしてやっぱりこれがいいと思った。あとはじっくり手放すのを待っていた...」


黙っていればいいものを正直に打ち明けるKさん、やっぱりただ者ではありません。


これほどまでの実力を、なぜ今まで発揮しなかったのでしょう?いいえ、相手によって行動を計算するなんてことはKさんにできるはずはありません。いつも自然体のKさんです


だからKさんを認めてくれる彼女に触れて、Kさんが輝き出したとしか言いようがありま ん。


次回へ続く
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マリッジ・コンサルタント 山名 友子