初めは、冗談じゃないと思った。だってそうでしょ、お母さん。
いくら一人暮らしを認めてもらう代わりに
結婚相談所に入会すると約束したからと言って、まさか本気だとは思っていなかったもの。
それが本当に連れて行かされるなんて。
仏頂面のお嬢さんと思われたってなんだって、嫌なものは嫌。
まだまだ自由に恋愛したかったし、
ましてや紹介された人と結婚なんてまっぴらだったわ。
彼とお見合いしたのはたまたま。
一応お母さんとの約束だったし、偶然同じ高校の先輩だったから。
でも初めて一緒に映画観たときは思わず居眠りしてしまった。
何となくうちの弟達と一緒に居るのと同じ感覚だったんだもの。
思いっきり寝てたねと彼にも笑われた。
そう、彼はよく笑う、それは気に入ったわ。
でもとにかくお母さんの言う「結婚」て、まだよくわからなかった。
彼も親の勧めで入会したんですって。
お互い自分から進んで結婚を希望して、という感じじゃなかったから、
その点はすごく気が合ったと思う。
でもやっぱり結婚前提というのではなく、あくまでも自由な気持ちで会っていたつもり。
だから結婚相談所にも何の報告もしなかったし、する必要なんかないと思っていた。
法律事務所勤務(女性・25才)