結婚相談所物語

お母さんへ 後編

だから結婚相談所にも何の報告もしなかったし、する必要なんかないと思っていた。


でも、お母さん、あなたはちゃんと色々と気遣って連絡とってくれていたのよね。


彼と会うたびに、ああ楽しいなと思っている自分に気付き始めたころ、


そろそろどうなのよ、と聞いたわね、お母さん。


本当に絶妙なタイミングで。


あの時素直に、結婚しようかな、と本音を言えばよかった。


安心させてあげればよかった。


なのに・・・突然逝ってしまうなんて。


だって、あんなに元気だったのに。


何をしたのか覚えていない。


どう過ごしたのか思い出せない。


ただ悲しくて、気がどうにかなるんじゃないかと思った。


でもいつも彼がそばにいてくれた。


僕がずっと守るよ、そう言って。


彼の言葉でどんなに救われたか。それでよくわかったの。


もうかけがえのない人だって。


これだったのね、お母さん。結婚するということは。


支え合って生きていくことなのね。


あなたを失ったお父さんの気持ちは今のわたしにはよくわかる。


支えてくれる人がいるわたしは、だからお父さんの力にもなりたいと思う。


頼りない姉だけど弟達と一緒に精一杯。


あなたのようにはなかなか出来ないけれど。


春になったら彼の元に嫁ぎます。


結婚してあなたのような母になります。


生きているうちに伝えられなくてごめんね。


楽しみにしていた支度、一緒にできなくてごめんね。


でもわたしの中にはいつもあなたがいます。ありがとう。お母さん。


あなたにもらった幸せ、大切にします。お母さん・・・。


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法律事務所勤務(女性・25才)