結婚相談所物語

結婚のありかた 前編

40を過ぎると人柄や生活が表情に表われる―


仕事仲間や同僚を見ていてときどきそう思う。


しかし最近は鏡に映る自分の顔に、一番その思いを強くする。


ああ自分はこんな顔だったんだ、なかなかいい表情しているじゃないか、と。


自分でも真面目が取り柄と思っている。


実際周囲からの信頼も厚い。


ただひとつ、40過ぎてまだ妻帯していない。


自分に特別問題があるわけではない、とのんびり構えていた。


ただ、我が子の成長は見たいと漠然と思っていた。


だから手軽にデータマッチングの出会いに頼り、


子供が産める年齢の女性に絞って会っていた。


だけどしっくりとこない。


なぜか違うと思ってしまう。


徒に月日が過ぎていく。


さすがに慌てた。


鏡の中の自分に焦りの表情が見え始めた頃、弟が教えてくれた。


人物本位で紹介してもらうべきじゃないか、と。


じっくりと人柄を見ながら相手を選ぶのは初めてだった。


それは逆に、相手に選ばれる自分にも当てはまること。


気恥ずかしさもある。


しかし子供が欲しいという希望は押し通した。


やがて同じ年代の女性を紹介された。


子供が産めるかというと少し難しいかもしれないけど


第三者の目からはあなた達はお似合いだ、そう言われた。


気持ちを変えて会うことにした。


友達が結婚相手を見つけたところで私も幸せを見つけようと思って


...と話す彼女は穏やかでつつましい。


同様の職種で話も弾む。


一つ一つの考え方が共感できる。


波長が合うというのだろうか。


自惚れではないが、彼女も同じ気持ちであると感じられた。


日ごと生活に張りが出た。


すっかり心に彼女が入り込んだ頃、彼女の態度にためらいが見え始めた。


何故だろう?


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子