すっかり心に彼女が入り込んだ頃、彼女の態度にためらいが見え始めた。
何故だろう。
思い悩んでいる時、わたしでは子供を持てるかどうかわからない、
とその理由を知らされた。
忘れていたが、それは自分が出した第一条件だった。
自分は何故結婚しようと思ったのだろう。
何の為に結婚相手を探したのだろう。
弟の子供の相手をしていて「自分の子供だったら...」と思うことは確かにあった。
だけど甥は甥で可愛らしいし成長が楽しみだ。
それでも尚、自分の子供にこだわる必要があるのだろうか。
結婚するということは、ただ単に妻がいて子供がいることなのだろうか。
彼女以上に、一緒にいて穏やかで充実した時間が持てる女性がいるとは考えられない。
そうとわかっているのに、
自分が勝手に作りあげた結婚生活の形に縛られる理由が、どこにあるのだろうか。
かけがえのないパートナーに出会ったと気付いた瞬間、
自分にとっての結婚のあり方が決まったのだ。
自分に相応しい結婚のあり方が。
人に比べれば遅いスタートかもしれないが、
それも含めて自分らしい結婚生活でいい、
そう思ったとき肩の荷がおりたように感じた。
真面目に仕事に励み彼女と二人の生活を楽しく暮らしていこう。
そう心に決めた自分は、きっと晴れやかな顔をしていることだろう。
なかなかいい表情で。
マリッジ・コンサルタント 山名 友子