結婚相談所物語

子の成長・親の成長 -旧家の一人娘- 後編

やがて一人娘に結婚したい人が見つかりました。


でもその人は少し遠くで働いているので、


とても一人娘の家では暮らせません。


一人娘はその人にお願いしました。


母がかわいそうなので私はそちらに行けません。


週末だけ通ってきてくれませんか?


その人は優しくいいよと言ってくれました。


そういう人だから一人娘はますますその人が好きになりました。


せっかくいい人が見つかったのに


結婚しても別々に暮らすのはかわいそう。


母親は一人娘の気持ちを思うと悲しくなりました。


父親も一人娘が不憫に思いました。


父親は考えました。


自分を育ててくれた親と自分が育てた娘、


どちらも幸せでいて欲しい。


そうだ、自分も親の世話をしよう、妻の手伝いをしよう、


そう決心したのです。


母親は父親の気持ちが嬉しくて


自分も頑張ろうと思い、一人娘に言いました。


私は大丈夫。だから貴女は旦那様のそばで暮らしなさい。


幸せになりなさいね。


子が巣立つと、親はほっと一息ついて、


そして少しずつ今までの親の衣を脱いでいきます。


だけど本当は、子から離れて


初めて親は自分で成長することができるのです。


だけどそれがこわくて、できなくて、子を手放したがらない親もいます。


でも子にとってはどちらの親がありがたいのでしょう。


自分がいなければ成長しない親と、


自分がいなくても成長して自分を見守ってくれる親と。


マリッジ・コンサルタント 山名 友子