やがて一人娘に結婚したい人が見つかりました。
でもその人は少し遠くで働いているので、
とても一人娘の家では暮らせません。
一人娘はその人にお願いしました。
母がかわいそうなので私はそちらに行けません。
週末だけ通ってきてくれませんか?
その人は優しくいいよと言ってくれました。
そういう人だから一人娘はますますその人が好きになりました。
せっかくいい人が見つかったのに
結婚しても別々に暮らすのはかわいそう。
母親は一人娘の気持ちを思うと悲しくなりました。
父親も一人娘が不憫に思いました。
父親は考えました。
自分を育ててくれた親と自分が育てた娘、
どちらも幸せでいて欲しい。
そうだ、自分も親の世話をしよう、妻の手伝いをしよう、
そう決心したのです。
母親は父親の気持ちが嬉しくて
自分も頑張ろうと思い、一人娘に言いました。
私は大丈夫。だから貴女は旦那様のそばで暮らしなさい。
幸せになりなさいね。
子が巣立つと、親はほっと一息ついて、
そして少しずつ今までの親の衣を脱いでいきます。
だけど本当は、子から離れて
初めて親は自分で成長することができるのです。
だけどそれがこわくて、できなくて、子を手放したがらない親もいます。
でも子にとってはどちらの親がありがたいのでしょう。
自分がいなければ成長しない親と、
自分がいなくても成長して自分を見守ってくれる親と。
マリッジ・コンサルタント 山名 友子