結婚相談所物語

ドクターの結婚 後編

大体私は余り社交的ではないのです。


積極性にも欠けるし本来目立ちたくない性分、それは自分でよくわかっています。


ただ医者という肩書があるだけで、こんな私でも、


物静かな先生と肯定的に映してもらえます。


そのイメージを壊さない女性がお似合いのお相手となるのでしょう。


お似合いのはずの妻との生活は数年しか続かず、


仮面の夫婦という言葉でピリオドを打つ決心をしました。


そしてもう一度出直しです。




紹介されたのは、物静かな―のイメージを覆す明るい、底抜けに明るい女性でした。


まったく初めてのタイプです。


イギリスで教育を受けたという天真爛漫さには少々面食らったほどでした。


ところがつきあってみると、彼女の明るさを静かに楽しんでいる自分がいます。


今まで人の目から見た自分ばかり追いかけていましたが、


私は、自分がそうだからと言って


一緒になって静寂に身を包むような人を望んでいたわけではなかったのです。


そして彼女は彼女で、自分の明るさがより際立つ、


そう、わたしのようなのが自分には向いていると、やっぱり意外に思った様でした。




彼女と私は、こんなカップルという言葉が見つかりません。


通り一遍で表現できるイメージが湧かないからでしょう。


ただお互いに最高に居心地のいい相手であることは確かです。


だからむしろ有難いことです。


お似合いという言葉にしばられなくていいのですから。


どんな風に見えても、


本人同士がよければそれでいい、


はっきりとそう言えるのですから。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子