居住地が優先されるということには正直ちょっと男のプライドが傷ついた。
よし、それならそんな条件、俺がぶっ壊してやろう。
なんてね。
いや、ホントなんとなく。
ところが彼女に会って冗談でなくそう思った。
男のプライド云々ではない。
ただ単にもう一度彼女に会いたいと。
意気投合したと思ったのは俺の身勝手な印象か?
しかしなんと言っても俺は条件外。
もう会えないよなぁ、と遠く東北の地で一人寂しく考えた。
ところが豈図らんや、
彼女ももう一度会ってもいいと言う。
そいつはラッキー、ここで頑張らなきゃ男が廃る。
幸い車を買うつもりで貯めた金がある。
ひとっ飛びで彼女に会えるんだ。
ということで週末ごとに帰省した。
彼女も、よくも遠くからわざわざ会いに来てくれて、
と素直に喜んでくれる。
そりゃそうさ。
俺は真剣だ。
そう、今こそ認めよう。
俺が望んでいた高級車を乗り回す気ままな暮らしとは、
要するに高級車でうさを晴らす孤独な生活そのものじゃないか。
思い通りも何のその。
思いなんてその時都合の言い訳と紙一重、
状況変わればころっと変わる、
その程度のものなのさ。
マリッジ・コンサルタント 山名 友子