そんなある日
「大丈夫だよ、同僚も沢山入っている会で紹介してもらえるから」
息子がそう申しまして、それからちょくちょく休日に出るようになりました。
聞けば色々なお嬢さんにお引き合わせいただいている由、
息子も弾むような足取りで出かけておりました。
世の中には医者との結婚を望む女性のなんと多いことでしょう。
何はともあれお付き合いがあるのは喜ばしいことですし、
この調子なら早晩まとまるだろうと
私も半ば決まったような気持ちでおりました。
しかし一向にお話が進展する様子がございません。
息子は次々に紹介されるままにお見合いを重ね、
「決める」ということ、
自分自身で判断するということをしなかったのでございます。
それはもちろん息子の問題でございますが、
私も母親として、一人の方とじっくりお付き合いしてみれば?
そうじゃないとお人柄はわからないでしょう
と言ってやればよかったのです。
しかし誤解を恐れず申しますと、
息子はいわば広告塔のようになってしまっていたように存じます。
いつまでもこれではいけないと思い悩んだ挙句、
こちらにお世話をお願いしたのでございます。
私の真意を知ってかどうか、
まず一番に、「こちらは決める会ですから」、
と言われましたのが印象的でございました。
マリッジ・コンサルタント 山名 友子