結婚相談所物語

「決める」ということ 中編

そんなある日


「大丈夫だよ、同僚も沢山入っている会で紹介してもらえるから」


息子がそう申しまして、それからちょくちょく休日に出るようになりました。


聞けば色々なお嬢さんにお引き合わせいただいている由、


息子も弾むような足取りで出かけておりました。


世の中には医者との結婚を望む女性のなんと多いことでしょう。


何はともあれお付き合いがあるのは喜ばしいことですし、


この調子なら早晩まとまるだろうと


私も半ば決まったような気持ちでおりました。


しかし一向にお話が進展する様子がございません。


息子は次々に紹介されるままにお見合いを重ね、


「決める」ということ、


自分自身で判断するということをしなかったのでございます。


それはもちろん息子の問題でございますが、


私も母親として、一人の方とじっくりお付き合いしてみれば?


そうじゃないとお人柄はわからないでしょう


と言ってやればよかったのです。


しかし誤解を恐れず申しますと、


息子はいわば広告塔のようになってしまっていたように存じます。


いつまでもこれではいけないと思い悩んだ挙句、


こちらにお世話をお願いしたのでございます。


私の真意を知ってかどうか、


まず一番に、「こちらは決める会ですから」、


と言われましたのが印象的でございました。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子