結婚相談所物語

「決める」ということ 後編

いつまでもこれではいけないと思い悩んだ挙句、


こちらにお世話をお願いしたのでございます。


私の真意を知ってかどうか、まず一番に、「こちらは決める会ですから」、


と言われましたのが印象的でございました。


「会う」為に会うのではなく「決める」為に会う。


これは些細なようで案外大きな違いでございました。


息子のお見合いに臨む姿勢が以前とは違ってきたのでございます。


結局息子は同業者の女性を選びましたが、こ


のご縁にも不思議な巡りあわせがございます。


実は彼女は、当初からお相手に同業者を望んでいたようでしたが、


その条件を掲げている間は全く出会いがなかったようでございます。


そこでやはり、結婚するというのなら決めることが肝心、


相手が医者であろうとなかろうと心を決める目的で会わなければと助言され、


彼女も聡明だったのでしょう、


その言葉を素直に聞き入れて相手の職業云々ではなく


結婚を決める気持ちを大事にして会っていこうと決意した途端、


息子とご縁があったとのことでございます。


ですが私が思いますのに、もし彼女が、


息子が医者だからという理由だけでお見合いをしておりましたら、


果たして息子の心に響くものがあったでしょうか。


また逆に、息子も結婚を決めるという気持ちなくして


お見合いに臨んでおりましたら、


彼女の心をとらえることが出来ましたでしょうか。


二人の、心を決めて結婚するという気持ちが


お互いを呼び合ったからこそ、


このご縁が生まれたのではないかと私は思っておりますが、


如何でございましょう。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子