結婚相談所物語

シナリオなんか書けなくても 前編

逢瀬を重ね、気持ちを確かめ、やがて二人は愛を育むようになり...


なんてシナリオが書けない場合はどうするか!?


どうするもこうするも、それでも何とかしなければ。


例えばこんな風に。




彼、40歳。


一流企業のエリート社員。


人柄いたって温厚・誠実。


その人柄がそのままにじみ出たような柔和な面差し。


但し相手の条件に一家(いっか)言(げん)ある少々手強い母親あり。


でも相手の家庭環境を重視するのはままあることだから、


ここはとりあえず母親に納得してもらうとして、


家庭環境が似ている女性を選べばよし。


問題は彼の成長。


成長?


そう長年の一人暮らしと生来のラーメン、


とんかつ好きが災いしてどんどん大きくなる、


それも横にだけ。


これは早く一人暮らしに終止符を打たなければ。


なのに追い打ちかけるように北欧転勤となったもんだからたまらない。


北欧の夜は長い。


とりわけ白夜は夜更けの食事がこれまた楽しい。


だからますます大きくなる。相変わらず横だけに。


これじゃ任期満了なんて待っていられない。


ということで、


とりあえず彼の一時帰国に合わせてお見合いを組むことにしました。


続く


マリッジ・コンサルタント 山名 友子