結婚相談所物語

縁を司る 前編

私は縁を司る神の使者。


愛のキューピッドなどと呼ばないでほしい。


決して背中に羽など生えていません。


ただ人の心を俯瞰(ふかん)できるということでは、


天空から愛の弓矢つがえている彼らと似ているかしら?


人の心は複雑怪奇。


相手の心の読み方一つで、随分縁の結び目も違ってくる。


ちょっとした拍子に見落とされてしまう縁、


今一歩のところで綻(ほころ)んでいたのが結び直される縁、


そんなこんなをひっくるめて、


ご縁がなかったとかあったとか、


まるで自分たちと関わりないところで決まるように人は言う。


だけどそうじゃない。


やっぱり心の持ち方次第。


相手はもちろん、


欲望や計算を綺麗さっぱり洗い落とした


自分の本当の気持ちに気づくかどうかが大きな鍵になるのです。


今日もひとつのカップルが生まれました。


一度は離れ離れになりかけた。


だけどやおら頭をもたげた自分の気持ちに気が付いて、


離した手を慌ててつなぎ直した二人でした。


男性は、彼の母親に言わせると"自分のリズムで動く難しい子"。


だけど本当にそうでしょうか?


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子