結婚相談所物語

息をするように 後編

結婚はするとかしないとか、


選択肢があるかのように見えるから、


ましてやしなくても実際生きてはいけるから、


自然の流れではないと勘違いしてしまうこともあるでしょう。


それで、するもしないもどちらに転んでも、


とかく騒ぐものなのかもしれません。


だけど、オギャーと生まれたら肺呼吸を始め、


学業終えたら仕事に就いて、とそんな風に流れていく中で結婚も、


成長したら独立し、独立したら家庭を作るという人間の営みとして、


平静に受け入れられたらいいなと思うのです。




すったもんだがあったとしても、


大波がさんざめいたとしても、


大切なことで人が動く時には何かしら波風は立つものです。


赤ん坊が立っただけで大騒ぎをし、転んではどよめき、歩けば喝采し、


それでも振り返ればつつがなく過ぎた記憶だけが残り、


その赤ん坊は今や何の意識もなくギャラリーも背負わず


スタスタ歩いているではありませんか。


今月もまた縁談がまとまったカップルのプロフィールを眺めながら、


彼らの結婚話が平々凡々たる記憶になりつつあるのは善き事、


と独(ひと)り言(ご)ちて、


翌月もなんだかんだ言いながらもすんなり落ち着くところに収まって良かったわねと


談笑しているのかしらと、目を細めながら思うのでした。


前回の話を読む
最初の話から読む


マリッジ・コンサルタント 山名 友子