丁度その頃、まさに働き盛りの素敵な男性がいました。彼もやはりバツイチでしたが子供はいません。
仕事の都合で名古屋在住でしたが何かと電話をくださり、いつも用件外れてつい話が弾んでしまいます。とても楽しいジェントルマンなのです。
女性に紹介する一人目は彼にしました。すると何とすぐに週末はせっせと通いデート、シニアの遠距離恋愛の始まりです。
みるみるうちに女性の肩から力が抜け、長年秘めざるを得なった穏やかな雰囲気が、これが本来の姿とばかりに彼女を包みこんでいきました。
入籍してしばらく、彼女が教師をしている間は名古屋と大阪での別居婚でしたが、通い妻はとても幸せそうでした。
彼はその後もサロンへしばしば電話をくださいました。そしてやっぱりついつい長話。
初めて娘2人の父親になってとても嬉しい、とか、なるべく父親らしくしてやりたい、とか。でも一番私の胸に響いたのがこの言葉でした。
「彼女が1年経ってやっぱり山名さんのところに行ったの、なぜだかわかる?彼女の話を聞いた後で言ったそうだよ、『1人で偉いわね』って。
山名さんがそうつぶやいたそうだよ。それを聞いて彼女は、ああこの人はわかってくれるって思ったらしい。お蔭で僕もこうやって彼女に会えたから僕も嬉しいけどね」
目の前にいるお嬢さん、そのお母さんと新しいお父さん、そして新しい家族。
本当にふとした私の一言がこのささやかな幸せの形を運んだのであれば、こんなに嬉しいことはありません。何気ない一言が心の機微に触れることもあるのだなと、しみじみ感じております。
マリッジ・コンサルタント 山名 友子