結婚相談所物語

何気ない一言 前編

27歳・次女・職業教師...と書き込まれていく登録申込書、ぼんやり眺めていると保証人の欄には迷いなく父親の名前。何だか見覚えのある名前です。


あら、あなたは...?


「フフフ・・・そうなんです。母もこちらでお世話になりました。父はとても私たちを可愛がってくれています。優しいお父さんですよ」


私がこの仕事をしていて、自分がふと漏らしたささいな言葉が時にはこれほどにも人に影響を与えるものかと、嬉しくも恐ろしくも気付かせてくれたのがこの方のお母さんでした。


6年程前のことです。


学校の先生をされている女性がふらりと来られました。当時48歳。何かを背負い込んでいるように、肩にかなり力が入っているご様子から、相当頑張って生きてこられたことがわかります。


子供2人がまだ幼いときに離婚され、教師の仕事を続けながら懸命に子育てしてきたそうです。


やっと下の子供も大学生になり、しかも母親と同じ職業を目指して教育大学に進学して精神的にほっとした、とは当然ですね。


でもこれからの自分の人生を考えたとき、新たな不安が心をよぎったそうです。なかなか肩の力が抜けないのはそのためでしょうか。


女性はそれから1年程して再び来られ、入会されました。


丁度その頃・・・


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子