結婚相談所物語

賢母良縁、愚母疎縁 中編

『私は叱られたわ、母に。


前にもすんでのところでお断りしたことが、


それも2回もあって、


心機一転と思ってここの会に入ったのに、


やっぱり土壇場でなかなか踏ん切りがつかなくて。


彼のことは尊敬している。


大人で頼りになるし。


でも昂ぶるような情熱的な気持ちじゃないし、


もっといい人がいるんじゃないかって


欲が出てしまったのね。


でも今度ばかりは母に一喝されちゃった。


「他人同士が一緒になるのに


価値観が違って当たり前、


理解するのに時間はかかるものです。


距離を縮めるのは自分でしかありません。


この人と決めたのだったら自分で乗り越えなさい」って。』




「今にして思えば随分勿体無い話だった気がする。


あれからあたしは、


どんな人とも深く付き合えない。


その人の仕草や振る舞いばかりに目がいってしまって。


収入は少ないけど


土地があって大きな家もありますから心配しないで、


と言ってくれた人もいた。


だけどお母さんに、


大きな家といっても田舎じゃないのって言われたら、


やっぱりマイナス思考に傾いちゃった。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子