「でもね、一つだけ忘れていたことがあったの。
結婚して子供を産むこと、これを忘れていたの!」
お忙しい毎日だったそうです。
強い責任感から仕事を人に任せられず、
やっと後輩が育ってきたかなとほっとした時に、
もう一つの大事な夢を思い出したそうです。
ご職業柄、自分に余り時間がないのはよくご存知でした。
だからこそ、その道のプロにすがってこられたのでした。
説明もそこそこに、
「分かりました。お任せします。
お相手は同業者にこだわりません。人物本位でお願いします。」
さて、魅力的なこの女医さんを、
素敵なお母さんにして差し上げなければなりません。
お相手はドクターに限らないという
広い入口を用意していただいたお陰で、
幅広くお相手のご紹介が可能になったのですが、
偶然にも開業されているドクターでした。
私たちはこのご縁を何とかまとめたいと願い、
お二人も順調に気持ちを紡いでいかれたのですが、
何せハードなお仕事柄、
ありがちな気持ちのすれ違いを修復できないでいるうちに、
彼女に諦めがよぎりました。
気まずい空白の時間が流れます。
「すれ違いはどのカップルにもあること。
気持ちがあるのなら、あなた、できるだけ彼女のところへ行ってあげて。
言葉は要らないからとにかく彼女のところへ行って!」
彼にアドバイスしたのはこのことだけでした。
マリッジ・コンサルタント 山名 友子