結婚相談所物語

隠れた逸材 前編

A子にもう結婚なんかしないで


パトロンを見つけたら?ってよく冗談を言った。


それほど友人のA子は美人さん。


あ、でも資産家だからパトロンも要らないか、


という続きはあるんだけど。


見た目はクール、


でもちょっと天然も入ってる。


そんなギャップもあって私はA子が好き。


大学以来のもう長い付き合いになっている。


私も含めてA子を知る友達は、


大学出たら絶対A子が一番先に結婚するよね、


と話していた。


だけどこういうのは何がどう作用して


どんな結果が出るかわからない。


A子は私のことを、


普通に結婚できて羨ましいなとよくこぼす。


隣の芝生は青いじゃないけど、


お互い持ってないものが


とりわけ光って見えるんだろう。


A子ほどの美貌も資産も持っていない私は


とにかく結婚を意識して、


ここぞという時に手を打った。


ちょっと乱暴な言い方だけどホントそんな感じ。


それで子供が産まれたあとは


まっしぐらに突き進んでいるだけ。


自分にお金と時間をかけられるA子を


羨ましいと思わなかったかというと、


そりゃあちょっぴり思わないでもなかったけれど。


でもA子は特に三十代半ば過ぎからは


正直に胸の内を明かしていた。


ブランドの服より三ツ星レストランのフルコースより


自分だけのダンナさんが欲しいって。


一度、さすがはA子と思えるような


イケメンと結婚寸前までいったこともあった。


だけどA子曰く、


私じゃなくて私のお金が欲しかったのよね。


それでダメになってしまった。


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マリッジ・コンサルタント 山名 友子